正義の側に立った瞬間、何が免除されるのか
正義は、
社会にとって必要な概念だ。
不正を指摘するため。
被害を可視化するため。
声を上げられなかった人の代わりに、
問題を表に出すため。
だが、
正義が「立場」になった瞬間、
それは別の機能を持ち始める。
正義は、免罪符になる
「正義の側に立っている」という認識は、
強い安心感をもたらす。
自分は間違っていない。
批判される側ではない。
説明する義務はない。
この瞬間、
本来セットであるはずのものが切り離される。
正しさと検証。
問われなくなるのは、手段である
正義が共有されると、
目的はすぐに合意される。
「許されない」
「是正されるべきだ」
「声を上げる必要がある」
だが、
どうやって、どこまで、誰が行うのかは、
ほとんど問われなくなる。
言葉。
晒し。
断定。
排除。
それらが正義の名のもとに行われても、
「動機が正しい」という理由で検証されない。
被害者性は、反論不能な位置になる
被害を受けた事実は、
疑われるべきではない。
だが、
被害者であるという立場が、
すべての発言を正当化する位置に置かれたとき、
議論は成立しなくなる。
被害者であることと、
主張が常に正しいことは、同義ではない。
だがこの区別を示そうとすると、
即座に「加害者側に立つな」と言われる。
正義の側は、説明を省略できる
正義の側に立つと、
多くの工程が省略される。
前提の確認。
事実関係の整理。
反対意見の検討。
影響範囲の想像。
それらは、
「そんなことをしている場合ではない」という一言で
飛ばされる。
だが、
省略された部分にこそ、
取り返しのつかない誤認が潜んでいる。
キャンセルは、解決ではない
排除は、
即効性がある。
目に見える成果が出る。
達成感もある。
連帯も生まれる。
だが、
キャンセルされた側が
何を考え、何を学び、どう変わったのかは、
ほとんど検証されない。
多くの場合、
問題は移動しただけだ。
正義は、更新されなくなる
正義が立場になると、
それ自体が問いの外に置かれる。
「もう議論は終わった」
「結論は出ている」
「今さら蒸し返すな」
こうして、
正義は固定される。
だが、
固定された正義は、
現実の変化に対応できない。
問題は、怒りではない
誤解してはならない。
怒りは、
不正を見逃さないために必要だ。
問題は、
怒りが検証を免除されることだ。
正義を掲げた瞬間に、
自分の言葉や行動が
問いの対象から外れてしまうこと。
誰が、正義の影響を受けているのか
正義が行使されたあと、
必ず影響を受ける人がいる。
・過剰に巻き込まれた第三者
・発言を控えるようになった人
・声を上げること自体を諦めた人
だが、
彼らは正義の物語に登場しない。
なぜなら、
語れば物語が揺らぐからだ。
UNREPORTEDの立場
UNREPORTEDは、
正義を否定しない。
だが、
正義が免除してしまったものを
そのままにしない。
誰が説明を省略したのか。
誰が検証されなかったのか。
誰の声が、途中で消えたのか。
それを記録する。
正義の次に来るもの
正義は、
始まりであって、終わりではない。
もし正義が、
「これ以上考えなくていい」という合図になっているなら。
その瞬間、
正義は問題の一部になっている。
正しいかどうかではなく、
正義が何を免除したのか。
そこから目を逸らさないこと。
それだけが、
次に進むための最低条件だ。

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